アフリカツメガエル 卵母細胞の販売

(1)最適卵母細胞の販売

ほぼ8年間卵母細胞を販売してきました。アフリカツメガエルは一時純系のJ系統を使っていましたが発生学的研究目的でなければ野生種の方が繁殖・飼育が容易で卵母細胞も大きいので現在は野生種を使っています。ただ、野生種は個体差が大きいため卵母細胞も個体差の影響で良し悪しがあるのは納得して購入をお願いしてきました。それで、安く手軽にご使用戴けるよう価格も極力低く抑えて販売してまいりました。しかし、それではユーザー様のご研究に支障が出て購入を続けるのが難しい状況も生じていたと思います。そこで、卵母細胞の摘出、コラゲナーゼ処理、輸送方法を検討し直し、ユーザー様のいろいろなニーズに答え得る卵母細胞を提供できる様努力致します。その結果、価格も値上げせざるを得ませんでした。今までのご愛顧に感謝しつつ、新しい提供方法と価格をご理解いただきご購入をお願い致します。

改善したこと

(a) 卵母細胞の摘出

アフリカツメガエルは野生種なので個体差が大きく、優良な卵母細胞がえられるまで匹数を限定せずオペを繰り返すことにしました。通常月曜日出荷が定例なので、その3~4日前にオペし、見た目良いと思われる卵母細胞を持つカエルは傷口を縫合し生かしておきます。摘出した卵巣からコラゲナーゼ処理して卵母細胞を調製し、さらにcRNAも注射し、2日間生存状態を確認します。良い卵母細胞を調製できたらそのカエルは月曜日にオペし卵母細胞を調製しユーザーに発送します。良い卵母細胞が調製できなかったカエルは廃棄します。カエルは安楽死を願って麻酔薬を使ってオペします。さらに、より厳密にクリーンベンチ内で無菌操作により卵母細胞を調製します。使用するプラスチックやガラスのチューブ、シャーレ、ピペットは全て無菌のものを使います。培養液等も全て完全無菌にして使用します。

 

(b)コラゲナーゼ処理

コラゲナーゼ処理は卵母細胞の生存率に大きく影響します。酵素の種類、酵素濃度、処理時間、処理方法をいろいろ検討した結果、具体的な条件は公開できませんが、3種類の卵母細胞を提供することにします。酵素処理が最も弱い卵母細胞塊、酵素処理が中等度のfollicle 膜有の卵母細胞、酵素処理が強めのfollicle 膜無の卵母細胞の3種類です。卵母細胞塊は酵素処理後まだバラバラになっていない卵母細胞の塊です。生存率が厳しく求められる電気生理学実験などにはこちらをお求めください。到着後follicle 膜 をピンセットで剥がすと1週間位は生きており、チャンネル等の発現に長い日数要する場合に最適です。酵素処理中等度のfollicle 膜有卵母細胞は比較的生存率が高く、cRNAを注射後4~7日は生存します。酵素の種類を変えたので、follicle 膜は未だ残っていますがcRNAの注射は容易です。酵素処理が強めのfollicle 膜無卵母細胞はfollicle 膜が剥がれているか剥がれかかっておりピンセットで剝がす場合とても楽にできます。測定時にfollicle 膜が無い方がいい場合こちらの卵母細胞を選択下さい。但し、cRNAを注射してもしなくても生存率は2~4日間です。長い生存を必要とする場合、卵母細胞(膜有)にcRNAを注射し、5~6日間インキュベーション後生理活性測定直前に薄いコラゲナーゼで処理し膜をピンセットで簡単に剥がし卵母細胞(膜剥ぎ)として使用するのが良いと思います。

  

(c)卵巣塊を販売します

卵母細胞塊をもう一度コラゲナーゼ処理すると極端に生存率が下がります。ご自分でコラゲナーゼ処理条件を決めて実験したい方用に卵巣塊を提供いたします。カエルを飼育する環境がないか難しい研究者にとって有用だと思います。特に、動物の屠殺が厳しく制限されている場合、最良の卵巣塊から実験をスタートさせることができます。

 

(d)輸送方法

卵母細胞はプラスチックプレートや96穴培養プレートの底に付着し、長い間置くと変形します。また、多数の卵母細胞を共存させると一部の死細胞から出る内容物(プロテアーゼを含む)で回りの卵母細胞がダメージを受けます。それで、96穴培養プレートの各孔の底に7%寒天の床を作り、卵母細胞を各孔に1個づづ分配して輸送します。卵巣塊・卵母細胞塊はプラスチックカップで輸送します。培養液はBirth Medium です。翌朝10時にはユーザー様に卵母細胞を届けるため航空機専用便を利用します。航空便はクール便がないので蓄熱剤を用いた保温容器で輸送します。夏でも冬でもほぼ18~22℃を維持できます。輸送料金は航空便なので全国一律2,400円です。また、蓄熱剤入り容器の返送に1,100円かかります。

卵巣塊の摘出

卵巣塊

卵母細胞


(2)cRNA注射卵母細胞の販売

当社では、卵母細胞に遺伝子cRNAもしくはmRNAの注入作業を代行いたします。遺伝子発現に2~3日要しますので、当社で遺伝子cRNAの注射を委託されると、輸送中に遺伝子発現が進行し、卵母細胞の生存率も高いので好都合です。また、お手持ちの遺伝子のタンパク質の分子量や反応活性を調べるのに、卵母細胞での発現は非常に有効です。また、電気生理によるリガンド検定など、卵母細胞の特性を生かした研究もあります。卵母細胞の実験の経験がない場合でも、当社に委託すれば、遺伝子発現した卵母細胞が手に入りますから、次の段階の研究を直ぐにスタートさせることができます。現在、大学や製薬会社から委託があり、定期に月曜日に遺伝子cRNA注射作業を行っております。 cRNA合成にはカエルグロビンUTRを組み込んだベクターに遺伝子が組み込まれているのがベストです。遺伝子の構築に関して相談を承ります。

遺伝子cRNAの合成

cRNAの注射

cRNA注射卵母細胞


公費や校費でご注文の場合は下記申し込みフォームにご記入下さい。

(3)cRNAの合成委託

卵母細胞に注射するcRNAの合成を致します。T7かT3プロモーターベクターに挿入した遺伝子からcRNAを合成します。

(4)費用とお申込・購入


 

項目  個数 費用  リンク
卵母細胞塊(卵母細胞300個相当) 1 個

12,000 円

問合せ

卵母細胞 (膜有)

50 個 10,000 円 問合せ

卵母細胞 (膜有)

100 個 15,000 円 問合せ
卵母細胞 (膜無) 50 個

10,000円

問合せ
卵母細胞 (膜無) 100 個 15,000円 問合せ
cRNA注射卵母細胞  50 個 25,000 円 問合せ
cRNA注射卵母細胞  100 個 40,000 円 問合せ
cRNAの合成 1個 40,000円 問合せ
セル2
 注:上記料金に送料および消費税がかかります。  

(5)ご注文は曜日を問わず受け付けます

月曜日に実験したい場合、日曜日発送も致します。輸送業者は平日は日通航空、土日はヤマト運輸です。平日発送では特別な状況がない限り翌日午前10までに届きます。土日はヤマト運輸のタイムサービス便で送り、翌日到着ですが午前中到着は保証できません。航空便はクール便がないので蓄熱材入りクーラーボックスを使います。蓄熱材は再利用しますので容器の返送をお願いしています。

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